ロムレア ハンタメンシスの発芽実験

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ロムレア ハンタメンシスとは

ロムレア ハンタメンシス(Romulea hantamensis)は南アフリカ原産のロムレアで、ピンク色の派手な花を咲かせます。また、裏側にはステンドグラスのような模様も入り、魅力あふれるロムレアです。

しかし、ハンタメンシスは難発芽種子であり、種子から増やすことが難しいことで知られています。また、分球速度もそれほど高くないため、増殖は安易ではありません。

一度発芽さえしてしまえば、あとは普通のロムレアと同じ育て方ができるため、ハンタメンシスは発芽が大きな課題となっています。そこで今回は発芽条件を探る実験を行ってみました。

発芽に必要な条件

ハンタメンシスの発芽には、湿潤低温処理(Wet-Cold Stratification)が必要とされています。PBSによると、数か月間冷蔵庫で種子を湿らせた状態を保つ必要があるそうです。

試験区

今回試験区は2つ用意しました。

①5月下旬から湿潤低温処理を行う試験区

②6月下旬から湿潤低温処理を行う試験区

2つの試験区を用意した意図としては、採種してすぐに種をまく採り播きを行うことで発芽率が良くなるのではと考えたためです。ケープバルブの中には、採り播きをした方が発芽がよくなるものがあるので、試してみました。

処理方法

試験区は以下の方法で処理しました。

・容器はマイクロテストチューブを使用

・種子は各試験区20粒ずつ用意

・カビ予防のため、抗菌剤を規定倍率に薄めた液体に浸水

・窒息を防ぐため、液体に種子が半分浸かるような状態にする(念のため)

・冷蔵庫に保管

・処理期間は3か月

マイクロテストチューブ

※マイクロテストチューブを使用したのは、密閉できて邪魔にならない大きさで便利だっただけで、別に何でも良いと思います。

植え付け

8月下旬ごろ、①の試験区を見てみると、数個の種子が発根していることが確認されました。

①の試験区のみ用土に植えて、まだ暑かったのでクーラーが効いた部屋で管理することにしました。

9月下旬ごろ②の試験区も、発根していませんでしたが用土に植え付けました。

結果

12月になり、そろそろ発芽が揃ったかなと思います。それでは実験結果です。

①5月下旬から湿潤低温処理を行う試験区・・・発芽率 1/20=5%

②6月下旬から湿潤低温処理を行う試験区・・・発芽率 4/20=20%

考察

低温湿潤処理をするだけで、発根が確認されたことから、発芽に必要な条件はやはり低温湿潤処理ということが確認されました。

しかし、①の試験区では数個体発根を確認したのにも関わらず、発芽したのは1個だけでした。処理が早すぎると暑い時期に発根してしまうため、クーラーを使用していたとはいえ、暑さで枯れてしまったのかもしれません。また用土に移植した際に根を傷つけてしまったのかもしれません。

②の方が発芽率が良かったことから、採り播きの効果はなかったようです。
あとからよく考えてみると、採り播きの効果があるのは、ケープバルブの中でも夏〜秋咲きで秋に種が熟成するタイプの種類で、すぐに発芽することで冬の生育期に成長が可能というメリットがある種類でした。春咲きですぐに休眠期がやってくるハンタメンシスでは採り播きの効果があるはずがありませんでした…(今さら感満載)

しかし、②でも発芽率は20%ほどと低いことには変わりません。低温湿潤処理以外にも他に発芽に影響を与える条件があるのかもしれません。

また、3か月という処理期間も適切なのかよく分からないです。もし、3か月も処理が必要なら、自生地では春に発芽することになるため、夏までの非常に短い期間しか生育することが出来ないことを意味します。これは生き残るのに不利な条件であり、この短い期間に球根を作ることができるのか少し疑問が残ります。
もしかしたら、もっと短い処理期間でも発芽するのかもしれません。他のサイトでは6週間で良いと書いているところもありました。

まとめ

・ハンタメンシスは低温湿潤処理のみでも発芽する。

・低温湿潤処理は7月以降から開始した方が良いかも?