冬型ケープバルブの育て方

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ケープバルブは南アフリカ原産の様々な種類の球根植物の総称です。一例をあげるとラペイロージアロムレアゲイソリザオキザリスラケナリアゲチリスイキシアグラジオラスモラエアヘスペランサスパラキシス などです。

ケープバルブは鮮やかな花色で個性的なものが多く魅力的です。

花が少ない冬の季節に彩りを添えてくれます。開花時期は種類によって異なるため、いろいろな種類を集めれば秋〜春の間途切れなく花を咲かせることが出来ます。

また葉姿が個性的なものもあり、花がない時期でも楽しむことが出来ます。

そんなケープバルブですが、実はほとんどが同じ育て方で育てることができます。

しかも軽い霜よけ程度で冬を越せるため、特別な加温設備は不要です。また、小さな植物が多いので省スペースで育てることができ、ベランダ栽培に向いています。

今回はそんなケープバルブの育て方を紹介します。※個人的な経験も含みます。

なお、 ケープバルブは夏型と冬型がありますが、ここでの育て方は冬に成長する冬型のみの内容です。

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年間の管理

冬型のケープバルブは秋~春に生育・開花し、夏に休眠する生育サイクルをもっています。

夏の休眠時に水を控えること、冬に寒風をさけることにさえ気をつければ、おおよそ問題なく育てられると思います。

秋の管理

冬型のケープバルブは秋に生育が始まります。乾燥した状態の球根が初夏~秋に出回りますので、入手したら、風通しが良い日陰で乾燥させて管理します。

球根は暑さが和らいだ9月下旬ごろに植え付けます。我が家では最高気温が30℃を超える日がなくなるのを目安にしています。植え付けたら、水を鉢底から出るまでたっぷり与えます。水やりで、成長のスイッチが刺激され、早いものでは翌日に根を伸ばし始めます。

なお、オキザリスは早くに芽を動かすので8月下旬ごろに植え付けて水やりを開始します。

水やり後は屋外の日が良く当たる場所に置きます。日光が不足するとヒョロヒョロに徒長してしまいます。風通しが良い場所で育てると引き締まった姿に育てることができます。ただし暑さに弱いゲチリスは芽が出るまで日陰で管理した方が無難と思われます。

水やりは土の表面の鹿沼土の色が完全に白くなったら底から水が流れるくらいたっぷり与えます。秋や春の水やりの頻度は環境に左右されますが、3日に1度程が目安です。

冬の管理

一部の種類を除き、ほとんどの種類は氷点下に耐えられないため、冬は霜や寒風が避けられる場所に置きます。我が家では最低気温が5℃を下回るようになれば、寒風を避けられる場所に取り込むようにしています。

わざわざ加温する必要はなく、むしろ温度が高いと徒長しがちになってしまいます。短時間であれば氷点下でも耐えることができます。

水やりの頻度は 環境に左右されますが 、週1程度が目安です。

春~夏の管理

春になり急に暖かくなると水切れを起こしやくすなるので注意します。一度水切れを起こすと、乾季と勘違いして休眠のスイッチが入り、そのまま休眠してしまいます。水やりの頻度は3日に一度ほどが目安です。

暑くなってくると休眠が始まります。初夏にかけて葉がだんだん黄色くなってきたら、水やりの量を徐々に減らしていきます。葉全体が黄色くなれば完全に水やりを止めて、植え替えを行います。

その後、軒下などの日陰で雨があたらない場所で保管します。夏場の水やりは基本的に行いませんが、種類によっては乾燥しすぎると土に球根の水分が取られて衰弱するため、2週間に一度ほど表土が濡れる程度にさっと水やりをすると良いです(※ゲチリス除く)。

自生地でも夏は完全に雨が降らないという訳ではなく、月に10mmほどのごく少量の雨が降るようです。

ゲチリスは夏の暑さに弱いため、室内の涼しい場所で保管します。ゲチリスは夏場水やりをすると球根が溶けてしまうので、水やりは禁止です。

植え替え

休眠期である夏に植え替えを行います。植え替えは用土を完全に乾燥させた状態で行います。用土が湿っていると、植え替えにくいばかりでなく、球根を傷つけやすくなります。

まず鉢から土を崩し、球根と用土を分けます。枯れた根や葉は取り除きます。用土はふるいにかけて微塵を取り除きます。微塵を取り除くことで水はけを改善し根腐れを防止することができます。

我が家では用土は繰り返し使用しています。ケープバルブはアヤメ科が多いですが、いまのところ連作障害らしき症状が出たことがありません。ただしウイスルの兆候が出た鉢の土は廃棄します。

鉢底に粒子が少し大きめの用土を1㎝ほど並べ、その上にひとつまみのマグアンプKをばらまきます。さらに用土を足し、表面から1~2cm埋まるような深さで球根を植えつけます。

プラ鉢でも陶器鉢でも特に生育に違いは感じません。プラ鉢の方が軽くて管理しやすいです。球根植物は球根の大きさだけ根が出る位置が低くなるため、深鉢を使用した方が生育が良いと思います。

我が家ではプレステラの深鉢を主に使用しています。この鉢は四角の形をしているため隙間なく鉢を並べることができ、無駄なスペースを無くすことができて便利です。

用土

自生地の降水量は雨季でも日本に比べてかなり少ないため、水はけの良い土が適しています。市販の山野草の土のような粒状のパラパラとした土が良いです。無ければ硬質鹿沼土や硬質赤玉土を等量混ぜたものを使います。鹿沼土は土が乾くと白色に変わるため、水やりのタイミングが分かりやすくておすすめです。

肥料

植え付けの際に元肥としてマグアンプkをひとつまみ鉢底にいれます。基本的に肥料はそこまで必要としませんが、生育期間中に規定倍率に薄めた液体肥料を月に1度ほどやると、球根が良く太ります。

病害虫

冬に生育するため害虫はあまり発生しませんが、アブラムシが付くことがあります。アブラムシはウイルス病を蔓延させるので、早めに防除した方が良いです。見つけ次第ベニカなどの浸透性の薬剤を散布するのが有効です。

葉に色ムラが現れたり、奇形になるとウイルス病が疑われます。残念ながらウイルス病を治す方法はないので、他の株に移さないよう早めに抜き取ります。もし一つしかないような大切な株の場合、ウイルスは種子までは感染しないので、株を隔離して開花・結実させ、種子で更新することをお勧めします。

増やし方

基本的に分球で増えますが、中には分球しにくいものもあります。そういった種類は種をまくことで増やします。

ラケナリアは例外的に葉挿しで増やすことも可能です。

また、どんなに気を付けていても、突然枯れてしまうことがあるので、保存用として種を採種しておくことをお勧めします。

種まきは秋に行います。種が軽く隠れる程度に覆土し、表面が乾いたら水を与えます。発芽までの日数は種類によって大きく変わり、中には翌年以降に発芽するものもあります(ラペイロージアなどの硬実種子でこの傾向が顕著です)

開花までは種類によって異なりますが、早いもので翌年、通常なら3年ほどで開花します。

ちなみに種子の寿命は通常数年ほどで、平らで柔らかい種子ほど寿命が短く、丸く硬い種子ほど寿命が長い傾向があります。

自生地

冬型ケープバルブの主な自生地は南アフリカの西側で、夏に乾季、冬に雨季がある地中海性気候です。

自生地は大陸の端側に偏っており、土地の面積の割に驚くほど種の多様性がみられます。

内陸に行くほど標高が高くなり、寒く乾燥しています。ここでは代表的な自生地を3か所紹介します。

ROGGEVELD

南アフリカ西部に位置する内陸の乾燥地で、ここでは220種の球根植物が確認されています。年間降水量は125~250㎜程度です。ほとんどが1000~3000ftの高地であり、冬の気温は低く、雪や霜が降りるのが普通です。

主な種類…Lapeirousia montanaHesperantha humilisGladiolus uysiaeRomulea monadelpha etc

NORTHWEST

東にBokkeveldの山々があり、西側は沿岸沿いの低地です。ここでは最も多くの球根植物の種数が見られ、632種も確認されています。 特にBokkeveld山の斜面で多く見られます。年間降水量は 250-750mm程ですが、沿岸沿いは乾燥しており50-250mmだそうです。

主な種類… Sparaxis tricolorLapeirousia oreogenaGeissorhiza splendidissima etc

SOUTHWEST

大半が沿岸沿いの低地で、内陸側には1500mを超える山もあります。ここではNORTHWESTについで多くの球根植物が見られ、594種確認されています。 山間部での年間降水量は1000mmを超え、沿岸部では500mm程 です。 沿岸部の平野は農業のために耕作されており、多くの種が絶滅危惧種になっています。

主な種類… moraea aristataLachenalia viridifloraLapeirousia azureaGladiolus priorii etc

最後に

前述の通り、ケープバルブの多くの種が絶滅危惧種になっています。

一方で、成長の遅い植物は現地で採取された株である現地株(または現地球)が出回っており、生態系の破壊が問題となっています。

育てるなら種または種から育てられた株由来のものにしましょう。これは環境保全の目的だけでなく、種から育てたものは成熟した株より新しい環境に順化しやすく、育てやすいというメリットもあります。

参考文献

John Manning,Peter Goldblatt,Dee Snijman. The Color Encyclopedia of CAPE BULB. TIMBER PRESS. 2002.

Fumio Fujikawa. UNDER GROUNDS-CAPE BULB BOOK-. STRAIGHT BOOKS. 2015.

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